人類補完計画とは何だったのか

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Kabbalistic Tree of Life

人が持つ知恵の実と使徒が持つ生命の実を融合させることにより、完全なる単一生命体になることを目指した。

 

使徒が持っているのは永遠に生きられる生命の実で、人類が持っている知恵の実だけでは永遠に生きることが出来ない。

 

知恵の実を持つヒトに使徒が持つ命の実を与え、人類が個を捨てひとつになり、知恵を持ったまま永遠の命を得ることが目的だった。

 

 

リリン目線(ヒト目線)の人類補完計画は、知恵と永遠の命の融合

 

ゼーレの人類補完計画は原罪からの解放だったが、ゲンドウはTV版では「すべてを始まりに戻す」と言っている。

TVシリーズ第弐拾伍話 終わる世界より

ゲンドウ
「虚無へ帰るわけではない。全てを始まりに戻すに過ぎない。この世界に失われている母へと帰るだけだ。全ての心が一つとなり、永遠の安らぎを得る。ただそれだけの事に過ぎない」

ミサト
「それが補完計画?」

リツコ
「そうよ。私たちの心には常に空白の部分、喪失した所があるの。人は誰しも心の闇を恐れ、そこから逃げようと、それをなくそうと生き続けているわ。人である以上永久に消えることはないの」

ミサト
「だからって人の心を一つにまとめ、お互いに補完し合おうというわけ?それも他人が?大きなお世話だわ!そんなのただのなれ合いじゃない!!」

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 まるでキリスト教でいう「天の国」に通じるものがある

 

簡単に言ってしまえば分離からの統合ってことになる

 

旧約聖書.創世記 天地創造の流れ
1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
2日目 神は空(天)をつくった。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせた。
4日目 神は太陽と月と星をつくった。
5日目 神は魚と鳥をつくった。
6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくった。
7日目 神は休んだ。


分離の始まりがこの創世記なら、ゼーレの原罪からの解放も、ゲンドウの「すべてを始まりに戻す」というのも、エヴァが宗教といわれるのもうなづける。

 

 この3次元は分離の世界で、すべてはコインの裏表だ。
・表と裏
・上と下
・右と左
・善と悪
・勝ちと負けetc
相反するふたつのことが 必ずセットになっている。

 

全てを始まりに戻し、分離から統合に移行した場合、想像するしかない未知の領域になる

 

これらの分離やヒトが統合されたときに、どうなるのかは未知の領域だろう。ゼーレの計画のように原罪から解放されるのか、ゲンドウの計画のように神のようになるのか、エヴァでもその先のストーリーはない。

 

イエスキリストのいう「天の国」や、仏教でいう「輪廻転生」に通じるものがあるのは明らかだが、決定的な違いは、宗教には教義があるがエヴァには教義がないということだろう。

 

宗教でもたくさんの宗派があることから、捉え方や考え方はいろいろあり、真実が何かは人によって違い定かではない。

 

エヴァも同じで、宗教のように教義がないぶん、余計にいろいろな憶測が出来てしまうのだろう。結局は個人の主観に委ねられ、人によって正解や真実は違うのかもしれない。

 
旧約聖書 創世記編

 

カヲル目線の人類補完計画は、全てが太古よりプログラムされていた絶滅行動になる

 

サードインパクトに対して

 

この星で大量絶滅は珍しい事じゃない、むしろ進化を促す面もある。


生命とは本来 世界に合わせて自らを変えていく存在だからね。


しかし リリンは自らではなく世界のほうを変えていく。


だから 自らを人工的に進化させるための儀式を起こした。


古の生命体をニエとし 生命の実を与えた新たな生命体を作り出すためにね。


全てが太古よりプログラムされていた絶滅行動だ。


ネルフでは人類補完計画と呼んでいたよ。

 
このセリフは「エヴァンゲリヲン新劇場版Q」で、カヲルがシンジに言っている。

 

同じ物事でも、目線を変えれば 全てが太古よりプログラムされていた絶滅行動になる。まるでゼーレの裏死海文書のことを言っているようだ。


物事は、どちらが正しいとか間違っているとかではなく、ただの現象に過ぎない。どちらが正しいとか間違っているとかの価値判断は、その現象を見るものの主観にすぎない。

この分離の世界では どちらか一方だけということはあり得ない。
コインの裏表や、光があれば影があるのと同じで、相反するものが同時に存在する。

 

間主観的アプローチ―コフートの自己心理学を超えて

 

ルーリアカバラに見る エヴァの人類補完計画

 

ルーリアカバラとは 16世紀にイサク・ルーリアが 従来のカバラ教理を大幅に修正して作ったもの。


「生命の木」カバラの象徴図は 神的人間でもあるアダムカドモンの身体を表現しているが、ルーリアカバラの教義では「容器の破壊(シェビラート・ハ・ケリーム)」により カバラの象徴図のパスと アダムカドモンの下半身は 吹き飛んでなくなっていると言われている。


リリスの体も下半身がない。

 

「容器の破壊(シェビラート・ハ・ケリーム)」とは 「生命の木」カバラの象徴図の 1(ケテル)より光が漏れ、1(ケテル)2(コクマー)3(ビナー)の3つのセフィラしか残らなかったが、10(マクルト)の地球だけが残された。

 

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放出された光が強すぎて その光に耐えられず容器が破壊してしまった。
あまりに強い光は 失明するのと同じ原理。

 

アダムカドモンとは 神は自らの姿に似せて神人を作ったとあり、これは完全な同一体で 至福に満たされた魂の合一体とされる。

 

ゲンドウの人類補完計画は 「生命の木」を意識して 自らアダムカドモンになるつもりだったのではないか。

 

カバラにおける「生命の木」は10個の球と22の小径(パス)という要素で構成され、ヘブライ語の言語も22文字からできていて「生命の木」の22のパスに対応している。 


そして ヘブライ語の21文字目は「シン」
全能の神であるエルシャダイとして使われることがある。

 

エヴァでATフィールドは心の壁、個々を区別する魂の壁であり、LCLに溶けるのは壁の消失を意味する。

 

人類補完計画とは カバラ思想でいうと 個々の壁をなくし 神人になること。

 

ルーリアカバラで言われるように「容器の破壊(シェビラート・ハ・ケリーム)」が起き、パスが消失。

 

そのパスを再現するべく 人類補完計画で 人工的にエヴァンゲリオンを使ってパスを再構築しようとした。

 

パスが消失したままだと 神に至る道が途絶えたままということになる。この状態からエヴァンゲリオンでパスを再構築できれば 人が神に至る道が出来上がる。

 

これは まさにエヴァンゲリオン=ギリシャ語で「福音」=良い知らせとなる。

 

カバラによると 人間は大宇宙の縮小版

 

人間の起源は 燃えるような巨人の姿をとった 実在者であるアダムカドモンの内部にみつかる事になっている。

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自分が自分に出会うのが最初のゴールで 自分がアダムカドモンに出会うことが最後のゴールということのようだ。
TVシリーズ最後がそれで カバラ的には帰着する。

 

 

総説カバラー: ユダヤ神秘主義の真相と歴史