逃げたかったシンジが逃げずに、逃げなかったレイが逃げようとする、対照的なふたり

 

エヴァンゲリヲン新劇場版:破より

シンジが 綾波を助けに行く。
自分自身のために。
使徒のコアに入って行き綾波を探す。

 

 

本当に何かを決めたとき、人は強くなる

 

シンジ 
「綾波!どこだっ!」

レイ  
「ダメなの。もう私はここでしか生きられないの」

シンジ 
「ア・ヤ・ナ・ミ・・・」

レイ  
「いいの碇君、私が消えても代わりはいるもの」

シンジ 
「違うっ!綾波は、綾波しかいない!だから今、助ける!」

地上では、マヤとリツコのこんな会話が

マヤ  
「そんな・・・形状制御のリミッターが消えています。解析不能」

リツコ 
「人の域にとどめていたエヴァが 本来の姿を取り戻した。人のかけた呪縛を解いて、人を超えた神に近い存在へと変わっていく。天と地と万物をつむぎ相補性の巨大なうねりの中で、自らをエネルギーの凝縮体に変身させているんだわ。純粋に人の願いを叶えるために、ただそれだけのために」

リツコは意味深なこと言っている。
マヤはあくまでも仕事をしてる。
マヤはどんな状況の時も仕事に徹している。
まあ、リツコにめちゃ憧れてるし、仕事依存に近いかもしれない。

一方 使徒のコアに入っていったシンジは

シンジ 
「アヤナミ~」

レイ  
「アッ・・・」

シンジ 
「アヤナミ~」 

必死に探して見つける。

シンジ 
「アヤナミ~、手を・・・来いっ!」」
     
シンジは綾波の手を取り、必死で引き上げる。その時レイの手には、しっかりとシンジのミュージックプレーヤーが握られている。

 

シンジのレイを助けるんだ、という意思は固い。

 

一方レイ自身は「いいの碇君、私が消えても変わりはいるもの」

 

このままでいいと思っていた。でもシンジは食い下がる。

 

「違うっ!綾波は 綾波しかいない!だから今、助ける!」
とシンジの意思は揺らぐことがない。


いつも落ち込んだり自分の心がキツくなると逃げ出したりするのに、ここでは一歩も引かない。

 

心の底から決めてる、ってこうゆうことなんだろう。

「アヤナミ~、手を・・・来いっ!」
と呼びかける声が力強い。

 

人は心から決めた時には強くなる。

 

「すすむ路」がなかなか決められない人へ 「決断のろま」克服術 [ 和田秀樹(心理・教育評論家) ]

 

自分の感情に無自覚に見える綾波レイでさえ、心の叫びのようにシンジのミュージックプレーヤーをしっかり握っている

 

一方綾波レイは
「ダメなの、もう私はここでしか生きられないの」

 

レイはもうダメだと言っている。ここでしか生きられないと思っている。なぜそう思ってしまうのか・・・


レイにしてみれば、エヴァに乗ることでしかみんなと繋がっていられないと言っていたくらいだから、それができない自分に居場所がないように感じてもおかしくない。

 

エヴァに乗ることでかろうじてみんなと繋がっている、ただそれだけの存在意義。

 

それが存在意義だとしたらなんだかツライが、レイ自身は感情に対して無自覚だからやってこられたんだろう。

 

「いいの碇君、私が消えても代わりはいるもの」

 

レイ自身が留まる意味は何も無いかのようだ。

 

自分が消えてしまっても代わりはいるからと。

 

そりゃあそうだ。エヴァに乗ることでかろうじてみんなと繋がっている、ただそれだけの存在意義だったら、どうでもいいと思ってしまっても不思議はない。


でもシンジは
「違うっ!綾波は 綾波しかいない!だから今、助ける!」と叫ぶ。

 

姿形がそっくりの綾波レイが何人いようと、今いる綾波レイはここに1人しかいないと。

 

確かに、レイの代わりが何人いようと、シンジの知っているレイはここにしかいない。

 

シンジがレイの手を取り引き上げた時、レイの手にはしっかりとシンジのミュージックプレーヤーが握られている。

 

レイ自身
「ダメなの、もう私はここでしか生きられないの」
と言ってはいても、心のどこかで繋がっていたい、という願望がある。

 

だからシンジのミュージックプレーヤーを、手放すことなくしっかりと握り締めていたんだろう。本当は誰かと繋がっていたいし、寂しかったんだろう。

でもそんなこと、レイ自身は気付いていない。

 

だから
「いいの碇君、私が消えても代わりはいるもの」
と言えてしまう。

 

もし自分の本当の気持ちに気付いてしまったら、それこそ制御不能になって、自分で自分をコントロールできなくなるだろう。

 

無意識はいつも正しい [ クスドフトシ ]

 

本当の望みさえ、意識では認識できないココロの不思議

 

人の心のシステムは複雑だ。本当の自分の気持ちをうまく隠してしまうことが出来る。そうやって自分の心を守る。そして、まわりにうまく合わせて生きていく。

 

それは母親の胎内にいる時から、また生まれてすぐからだ。なぜか・・・?小さければ小さいほど、ひとりでは生きてはいけない。人のもともと持っている生存本能がそうさせる。

 

人としての肉体を持つ時、魂は肉体を通しての体験を望んでいるのだろう。

 

肉体を持つということ自体が分離だ。それならば相補性を忘れずに肉体を持てばいいのかもしれないけど、それはもう神の域になるのだろう。

 

肉体を持った時に相補性を忘れずにいたら、分離の体験は出来ないのかもしれないから。

 

本当はとてつもなくうまいシステムなのかもしれない。

 

そしてヒトはみんな、母親の胎内に入った時から分離が始まる。

 

だから心も分離していくのかもしれない。

 

レイにとっては、無自覚でいることが生きる術だった。
ましてレイは、ゲンドウによって特殊な誕生の仕方をしているからなおさらだ。

 

一方リツコは、
「人の域にとどめていたエヴァが、本来の姿を取り戻した。人のかけた呪縛を解いて、人を超えた神に近い存在へと変わっていく。天と地と万物をつむぎ、相補性の巨大なうねりの中で、自らをエネルギーの凝縮体に変身させているんだわ。純粋に人の願いを叶えるために、ただそれだけのために」


人の域にとどめていたエヴァが、本来の姿を取り戻し、純粋に人の願いを叶えるために、ただそれだけのために。

 

結局サードインパクトが起きる。

 

無意識を鍛える [ 梯谷幸司 ]